このシリーズにおいて、内容がついに佳境に入っていくのがこのvol3。

 

というのは、長谷氏の独自理論である、ディストーションシステム

の18段階のうち、最も老化の進んだ段階と言えるPhase18についての

説明が収録されているからです。

 

今後、残された17のPhaseの説明がシリーズ続編でなされていく

のでしょう。

 

僕の場合、長谷氏のDVDをすべて見ているわけではないのですが、

僕の見たタイトルの中では、今回のものは最も実践的な説明がなされています。

 

効果を出すために大切となる感覚の部分をできるだけ伝えようという

意思が感じられます。

 

これまでのタイトルは、形式的な説明が多かったように記憶しているので、

そのあたり、ちょっと雰囲気が違うと思います。

 

そして、Phase18のところですが。。。

 

まず、急性の内臓問題などを解決し、いくつかのリスティングが一致しているかどうか

を指標にして、ディストーションがでている状態になっていることを確認します。

 

例えば初めて来院した患者さんの場合、全身がロックしたような状態に

なっているので、どんな人もディストーションがでていないということですね。

 

このあたり、パーフェクトクラニオロジー協会のDVD

「ソフトブロックテクニック」が出たとき、

その収録内容の中で、宮野氏に古谷さんが

 

「今来る患者さんはみんな体がまっすぐで・・・」

 

という説明をうけ

 

「???」

 

という反応をされていたのを思い出します。

 

ほとんどの施術者は「まっすぐに寝かせる」

ということをあまり意識せずに、短下肢や骨盤などの状態を

みてそれに対してアプローチしていると思います。

 

でもそれは、歪んで寝ていることに対してまっすぐ寝るための

対策をしているようなもので、実際にはディストーションにたいしての

施術ではなかったのですね。

 

完全にまっすぐに寝かせると、ディストーションはでていない

ということです。

 

ということで、まずディストーションがでているところまで

もっていくということですが、たぶん

 

「これでディストーションが出たよね」

 

ということが明確に分かる術者というのが、

かなり少数なのではないでしょうか。

 

まだ何もしていない患者さんの状態を見て、まちがって

 

「おぉ、ディストーションでてるじゃん」

 

と思ってしまう人もかなり多いかもしれません。

 

でもま、そこはクリアしたとして、そのディストーションに

たいしてのアプローチですが、これまたなかなか難しい

かもしれません。

 

どんな状態に体がなれば終了、という部分がけっこうあいまい

というか、ある意味臨床的な内容なので仕方ないのですが、

○○でもいいし、○○でもかまいません、みたいな感じの説明です。

 

患者さんの体の状態の把握がかなりできる術者でなければ、

この判断に迷うことになりそうです。

 

ということで、非常に興味深い内容にさしかかるこのvol3ですが、

真剣な取り組みが要求されることは間違いなさそうです。

 

また、僕の場合はオステオパシーも学んでいるので、sot系の

理論にはかなり違和感も感じてしまいます。

 

SOTに取り組んている方、こんなことを書いて申し訳ありません。

あくまで一施術者の意見ですので。

 

前出の協会でのセミナーでも同様なのですが、良い状況を

作って、意味のある矯正をしたとして、その行為が患者さんの

体力を大きく消耗させるという話が今回のdvdでもでてきます。

 

状態を根本的に上げていくためには、まず患者さんの体調を上げるようにし、

上がった体力を利用することで、矯正をしても体力が落ちすぎないようにする。

 

その考え方は理解できなくはないのですが、それって無理のあるアプローチ

をしている、ということになるように思います。

 

調整後、逆に体力が消耗するというようなことはオステオパシーでの

アプローチではまず起こりえないと理論上は思われます。

 

なぜなら、エネルギーがうまく流れるのを阻害している要因を

除去していくだけなので、流れはよりスムーズになっていく

はずだからです。

 

実際に体のシステムへの理解がすすめば、体力が落ちるという

認識も理解できるようになるのかもしれませんが。

 

SOTはカイロのなかでは、とてもオステオパシー的な体系と

いわれることもあるようですが、そうではないように感じてしまいます。

 

ところでアメリカ本土では、カイロプラクティックの人気がかなり落ちていて、

養成学校も定員割れが多く、簡単に入学できるという話があります。

 

カイロプラクティックの理論的な前提が完全に破綻し、SOTも含めて

その信頼性が揺らいでいるようです。

 

その背景には、年々人間の健康度が低下し、これまで有効と考えられてきた

テクニックでは、成果のだせない症例が増えてきたからというものがあります。

 

僕はSOT自体を学んだことがないのですが、おそらく

今回のDVDの内容は、SOTを大きく前進させた技術だと思います。

 

ただそれでも、その骨組みにSOTのDNAが刻み込まれていることは

間違いないでしょう。

 

組織をけん引する非凡な施術者以外は、結果を出しにくい技術ということに

なってしまうかもしれません。

 

一方オステオパシーも、大きな効果を得るためにはエネルギーへの感覚が

おそらく必須で、だれでも高い技術にまで到達できるようなものとは

考えにくい手法です。

 

たぶん、ちょっとうまくなる、少し分かってくるまえに、習得をあきらめてしまう

人のとても多い手法ではないでしょうか。

 

僕が昔参加していたオステオパシーのセミナーでは、みなさん真剣

でしたが、技術の向上には非常に長い期間が必要な状況のように

思われました。

 

この業界に長くいるとだんだん理解してくるのですが、結局は、テクニック

よりも感覚の鋭さを磨いていくことが、技術を前に進める推進力になる

ということです。

 

自分の使うテクニックや参加するセミナーも、感覚を磨くことを

念頭に置いたものにするべきだろうと思います。

 

感覚のすぐれた人が今回のdvdをみれば、やはり得るものが

多いのではないでしょうか。